はじめに
WannaBee™は、2.4GHz帯近距離通信規格の一つであるIEEE802.15.4規格に準拠したワイヤレス通信モジュールです。日本国内での工事設計認証(技術適合認証、通称:技適)を取得済です。本通信モジュールの手軽な使用方法として、透過伝送機能を使用して、WannaBee™ペア、もしくは、複数でのワイヤレスシリアル通信などに活用できます。
また、メッシュネットワークを自動形成できるためマイコンやPCなどのデジタルインターフェースと接続して、屋内・屋外問わず省電力で安定したIoTメッシュ(マルチホップ)ネットワークシステムを実現できます。
更に、WannaBee™は、ZigBee®プロトコル互換で各社ZigBee®製品とも高い接続互換性があり、WannaBee™モジュールを使用したオリジナルデバイスと既存の対応家電やスイッチなどとを市販のZigBee®対応Hubを中心に連携させれば、自分だけのホームオートメーションシステムを構成することもできます。(Z240-MP4(EA)とZ240-CP13では、対応する機能が一部異なります。詳しくは、各製品ページをご確認ください。)
省電力で安定したWannaBee™の通信
IEEE 802.15.4に準拠するWannaBee™の通信は、低消費電力でセキュリティに優れ、近距離・中程度のデータレートの通信用途に適します。2.4GHz帯ISMバンド(産業・科学・医療用として自由に使える帯域)を使用し免許・登録など不要で、小型アンテナ(Z240-MP4(EA)は、オンボードアンテナを搭載済み)で通信でき比較的障害物にも強く、屋内でも安定した通信が可能です。
WannaBee™の伝送ビットレートは理論上250kbps(瞬時値)で、プロトコルオーバーヘッドや2.4GHz帯の電波干渉などにより連続送信時の平均ビットレートはこの半分程度を見込めます。
デバイス同士が直接通信できる距離は最長100mほどですが、直接通信ができない距離にあるデバイス間でもZigBee®3.0で定められたマルチホップアルゴリズムにより、送信されたパケットはネットワーク内の中継機能を持つ他のWannaBee™、または、ZigBee®デバイスによって中継され宛先まで転送されます。中継ノードを経由することで広範囲の通信をカバーすることが可能となり、送信元のデバイスは少ない消費電力で離れた宛先までのパケット到達を実現できます。
メッシュネットワークの自動構成と再構成
WannaBee™は、ZigBee®3.0のネットワーク自動構成機能をサポートし、ZigBee®機器との相互通信をする、しないに関わらず、ネットワーク構成時にその機能を活用することができます。自動構成されるネットワークはスター型、ツリー型、メッシュ型の構成に対応し、建物全体をカバーするような大規模なメッシュネットワークも自動的に構築可能です。経路選択も自動で行われ、アプリケーションの設計者はネットワークトポロジの設計や経路の選択をプログラミングする必要がなく、多数のセンサーデバイスを配備する場合や、多数の無線機器での相互通信を行うアプリケーションなどにおいて大幅に実装コストを削減できます。WannaBee™を使用することで、複雑なメッシュネットワークの構築テクノロジーを開発アプリケーションに簡単に取り入れることができます。

WannaBee™で構成するネットワークでは、宛先ノードを単一とするユニキャスト通信に加えて、宛先を複数指定したマルチキャスト通信、および、ネットワーク内の全ノードを宛先とするブロードキャスト通信に対応し、更にブロードキャスト通信においてはより柔軟な宛先グループの設定をサポートし、強力なIoTアプリケーション開発を支援します。
ZigBee®対応デバイスと高い相互運用性
WannaBee™は、信頼性の高いZigBee®認証取得済みSoCを採用し、ZigBee®3.0の多くの機能をカバーしています。ZigBee®ネットワーク内でのデバイス間の通信手順を標準化したZCL(ZigBee Cluster Library)に対応し、他社のZigBee®デバイスとも相互運用性を確保できます。デバイスのデータや機能セットを定義するZCLに基づくアプリケーションプロファイルにも対応し、エンドデバイスにホームオートメーション(HA)プロファイルを指定すれば、汎用的なスマートHub機能を持つノードからの、電源制御や音声コントロールなどを実現することもできます。HAの他、スマートエナジー(SE)やヘルスケア(HC)など用途に応じたプロファイルを活用できます。
WannaBee™モジュールZ240-CP13は、コーディネータやルータ向けに容量を持たせた設計になっており、 Z240-MP4とは対応する機能が一部異なります。Z240-CP13をエンドデバイスとして使用する場合は本モジュールとコーディネータや他のノードとの間の通信処理の大部分をユーザが外部MCUに実装する必要があります。詳しくはソフトウェアドキュメントをご覧ください。
ZigBee®はConnectivity Standards Alliance(CSA)の登録商標で、WannaBee™を使用して開発した製品にZigBee®のロゴ認証を取得するためには、CSA認定のテストプロバイダで必要なテストを受けて認証を取得する必要があります。認証取得に関する情報は、CSAにご確認ください。
透過伝送モードでWannaBee™を手軽に利用
WannaBee™はビルトイン機能として透過伝送(Transparent Transmission)機能を備え、透過伝送モードに設定することで、複雑な仕様のZigBee®互換プロトコルを意識することなく2.4GHzデジタル通信デバイスとしてワイヤレス通信を実現可能です。他のZigBee®製品との接続や互換性が不要な場合は、この透過伝送機能を使用することでWannaBee™モジュール間でのアプリケーションを簡便に作成できます。透過伝送モードで使用する際も、ユニキャスト通信、マルチキャスト通信、およびブロードキャスト通信を選択可能で、幅広い用途に対応できます。
他システムとの比較で見るWannaBee™のメリット
WannaBee™と同じ2.4GHz帯を使用する無線システムは、WannaBee™が相互運用できるZigBee®の他にWi-Fi®、Bluetooth®、Bluetooth® Low Energy(BLE)などがあります。
Wi-Fi®はインターネットを介した高速・大容量のデータ転送を目的とし、そのため常に多くの電力を必要とします。対して、WannaBee™はインターネットを介さず、機器同士で低速・少量のデータを送信するため低消費電力です。センサーやアクチュエーター機能を実装するWannaBee™の小規模デバイス(エンドデバイス)には、用途に応じてスリープ時間を設定する省電力モードが使用でき、通信が不要な時間の電力を大幅にカットすることができます。エンドデバイスではこの高い省電力性を活かし、3VCR系コイン電池や乾電池などの小容量・低電圧電池の使用をすることで、機器の小型化を可能にします。
Bluetoothは基本的に機器を1対1でペアリングしスター型ネットワークで、親機から一定距離以上離れると通信できなくなります。対して、メッシュ型ネットワークに対応するWannaBee™は1つのネットワークに多数の機器を接続でき、マルチホップ機能を使用して通信距離を大幅に拡大することができます。ZigBee®と同じくホームオートメーションなどに活用され、比較されることの多いBluetooth® Low Energy(BLE)はメッシュネットワーク構築機能を備えていますが、メッシュネットワークに参加させる機器の紐づけをマニュアルで設定する必要があるなど、多量のIoT機器のデプロイメントには適さない場合があります。一方WannaBee™は、IoTデバイス向けのメッシュネットワークの自動構成を前提とした設計で、ZigBee®のアプリケーションプロファイルと共に、多数のデバイスを結合するネットワークの構築を容易に実現できます。
充実のサポート情報
WannaBee™の使用に専用開発キットなどは不要で、WannaBee™モジュールと提供されているマニュアル類があれば一般的なマイコンやSBC(Single-board Computer)での試作や開発が可能です。日本語のデータシートやZigBee®互換操作を使いやすくまとめたAPIライブラリ、各実装に対応するサンプルコードなどの提供で、シンプルなシリアル通信から複雑なZigBee®互換アプリケーションの開発まで分かりやすくサポートします。また、試作用に用意されたUSB搭載の開発・評価ボードを使用することで、本格的なデバイス設計と実装をスムーズに行うことができます。
WannaBee™の活用例
WannaBee™の特徴を生かした活用例は以下のとおりです。ご紹介する活用例以外にも、アイデア次第でWannaBee™の活躍の場は無限に広がります。
① ホームオートメーション・スマートホーム
<利用例>家庭内での照明制御・対応家電の電源管理・消費電力管理など
ZigBee®対応機器と相互運用性があるため、既存のZigBee®対応家電やHubなどとネットワークを構成することができます。中継機をうまく配置することで1階から2階の対応家電を操作するなど、家中を一括管理することも可能です。人の動きを感知して照明をオンにしたり、外出先からアプリで家電を操作したり、各種センサーや機能と連動することで消費電力の削減にもつながります。
② 大型施設・ビルのオートメーション
<利用例>空調や照明の自動化・防災・防犯など
センサーによる監視で空調や照明を自動で調整、ドアセンサーで人の出入りを感知してセキュリティーシステムと連携するなど、これまで人の手に頼っていた部分をオートメーション化することで、管理運営の効率化が可能です。WannaBee™は柔軟なメッシュネットワークで大きな建物も丸ごとカバーすることができます。
③ 小売り環境
<利用例>在庫管理・価格表示など
在庫管理での活用では、重量センサーやビーコンなどで入庫や出庫をリアルタイムで管理し、作業員の手作業が減るだけではなく正確性も向上します。定期的にデータが更新されるため、常に最新の状況を把握することができます。電子値札は紙の値札の代わりとなるデバイスで、1つのネットワークに多数の機器を接続可能なWannaBee™なら全ての商品の価格を一括でシステム管理できるため、セール時の価格変更なども簡単で値札変更作業の大幅な効率化に役立ちます。
④ ヘルスケア
<利用例>健康モニタリングデバイス・医療機器・介護支援システムなど
近年注目されているデジタルヘルスケアに、低消費電力で安定した通信を可能とするWannaBee™は最適です。医療モニターなどで取得したデータを、ネットワークを通じて遠隔管理、各種センサーで変化をリアルタイムに監視するなど、より効率的で充実した医療ケアを可能にします。













