# A660-900T22 製品データシート(LoRaWAN対応、Firmware ver.1.1) - 製品名: LoRaWAN(AS923対応)エッジデバイス向け 920MHz LoRa省電力ワイヤレスモジュール A660-900T22 - 920MHz 13dBm(20mW) 特定小電力無線局 - 対象ファームウェア: ver.1.1 - Rev.1 - 発行元: CLEALINK TECHNOLOGY CO., LTD. - 出典: https://support.dragon-torch.tech/docs/lora/A660_ver.1.1/ > A660-900T22は、E220シリーズ(Private LoRa方式)とは異なり、**LoRaWANプロトコル**に対応した製品です。ASR社のAS6601チップを採用し、ATコマンド形式の対話型インタフェースで操作します。 --- ## 免責・注意事項(原文要旨) 本ドキュメントは、電子部品、無線通信モジュールのデータシートとしての性質を有します。製造元・販売元・権利者は株式会社クレアリンクテクノロジー(以下「当社」)。対象製品「A660-900T22」は「A660」と略記します。 本ドキュメントは「現状の形」で提供され、商品性、特定目的への適合性、または非侵害の保証を含め、いかなる保証も行われません。内容は予告なく変更される場合があります。 本製品は、医療機器、軍事機器、自動車・航空機の運転装置類など、人命や財産への危害を与える恐れのある高い安全性・耐久性を要件とする用途での使用は想定していません。安全性・適合性の判断は設計者の責任で行ってください。 技術情報・試験結果は、株式会社クレアリンクテクノロジー、量産製造を担当するChengdu Ebyte Electronic Technology Co., LTD.、および国内電波法準拠の認証機関によって取得されたものであり、実使用条件によって結果が異なる場合があります。 この日本語版ドキュメントは、日本国内の電波法に適合させた製品の日本人技術者向けサポート用に作成されたものであり、類似製品や海外販売品には適用されません。 **電波法・無線技術について** LoRaWANによる周波数プリセットや、電力出力、ならびに、その他の電波法規定パラメータは、各国の要件によって異なります。本ドキュメントで取り扱う仕様の内、日本国内での使用に適した範囲を、国内における本文書の適切な使用方法であると定義します。A660-900T22については、920MHz特定小電力無線であり、当社が本モジュールの技術認証を受けた事実に基づく適切な使用方法である限りにおいては、その利用において法的義務や制限は生じません。 **LoRaWAN通信の互換性について** A660-900T22 ver.1.0ファームウェアにおいては、LoRaWANプロトコル LoRaWAN v1.0.4 準拠方式 Class A, Class Cに対応した実装がされています。ただし、LoRaWAN v1.0.4 Class A, Class Cに含まれるすべての機能の実装や、すべてのLoRaWANゲートウェイとの通信を保証するものではありません。 --- ## 1 概要 ### 1.1 はじめに 本LoRaWAN対応920MHz LoRa省電力ワイヤレスモジュールは、電波の送受信を行うためのモデム・無線部と、その制御や設計者へのデジタル通信機能を提供する制御ソフトウェアであるファームウェアを搭載した省電力マイクロコントローラで構成されています。また、それらに安定した電力を供給するための電源回路を内包しています。 A660-900T22は、LoRaワイヤレスのワンチップ統合LSIであるASR社のAS6601チップを採用した省電力通信モジュールです。3.3V電圧レベル(定格3.7V)以下の広い動作電圧レンジをサポートし、UARTシリアル通信インタフェースによる、ATコマンド形式の対話型利用も可能な操作インタフェースを提供します。本モジュールは、LoRa伝送の多様な方式とパラメータをサポートし、920.6〜928.0MHzの周波数帯の920MHz帯アンライセンスバンドを使用し、LoRaスペクトラム拡散技術で動作します。標準的な電源構成において、TTLレベル出力は、3.3Vの I/Oポート電圧と互換性があります。 本製品は日本国内でアンライセンスでの利用が許可された920MHz帯のLoRaWAN Frequency Plansである、「AS923」をカバーすることができます。 ### 1.2 機能 - AS6601チップソリューションの採用で低消費電力、高速、長距離に対応 - 920MHz LoRaWAN方式 を採用(すべてのLoRaWANゲートウェイとの通信を保証するものではありません) - 理想的な条件下では、通信可能距離は5km以上に達する - 送信電力はソフトウェアから調整可能 - パケットあたり最大222バイトのペイロードを使用可能 - 日本国内でのISM 920MHz周波数帯域(LoRaWAN Frequency Plans「AS923」)をサポートします。 - 設定パラメータは電源オフ後、不揮発メモリに保持され、モジュールは電源投入後に、その保持されているパラメータに従って動作します。 - 効率的なウォッチドッグ設計で、万一の例外の発生時には、モジュールは自動的に再起動し、以前のパラメータ設定に従って継続動作します。 - 標準給電手順では、1.7〜3.7V(3.3V標準電圧)の広いDC電圧範囲をサポート - 業界標準設計の、-40〜+85℃環境下での長期使用をサポート - アンテナ端子はIPEX接続と設計者によるPCB引き出しでの使用を選択可能 - パッケージは小型で手半田、量産リフローに対応 - 最大送信電力は13dBm(約20mW) ### 1.3 アプリケーション A660-900T22は、LoRaWAN対応アプリケーションを低コストで容易に実現できます。また、バッテリーデバイスの動作時間を大幅に延長できます。 - IoTセンサーネットワーク - スマートホームおよび産業用センサー - ワイヤレスアラームセキュリティシステム - 高度な検針アーキテクチャ(AMI) - 産業向けアプリケーション - 農林水産業向けフィールドアプリケーション - ウェアラブルデバイス --- ## 2 仕様 ### 2.1 モジュールの内部構成 本モジュールは、小さなプリント基板に高周波回路部品を配置したSoM RFモジュールとして提供しています。このモジュールの金属保護板の内部は、制御用省電力マイクロプロセッサ、RF SoCチップ、32MHzクリスタル発信器、RFスイッチ、フィルター回路、および、電源安定化部品などによって構成されています。 本品の改造、または、本モジュールの形を変更して仕様するなど当社の指定しない方法での電波放射は、電波法に抵触する可能性が高い行為であるため行わないでください。 ### 2.2 定格 **定格** | パラメータ | 最小 | 最大 | 詳細 | |---|---|---|---| | VCC 給電電圧(V) | 1.7 | 3.7 | | | VCC消費電流(mA) | | 67mA | 13dBm送信時※1(モジュール出力最大22dBm時 120±10mA) | | ブロッキング電力※2(dBm) | - | 10 | 短距離使用の場合の焼損可能性は低い | | 動作温度範囲(℃) | -40 | +85 | 産業・工業グレード設計 | | 動作湿度範囲(Rh%) | 10 | 90 | | | 保管時温度範囲(℃) | -40 | 125 | 結露しないこと | ※1 日本国内での使用においては、13dBmに制限されます。本モジュールの潜在的な設定上の性能発揮時は、約130mAに達しますが、日本国内で使用する場合は、この設定で使用することはできません。(ここでは、本モジュールの定格値として記載しています) **絶対定格** | パラメータ | 最小 | 最大 | 詳細 | |---|---|---|---| | VCC 給電電圧(V) | -0.3 | 3.7 | 3.7Vを超える電圧を印加すると、モジュールは恒久的な損傷を受ける可能性があります。 | | その他 I/O端子電圧(V) | -0.3 | 3.7 | | ### 2.3 動作パラメータ | パラメータ | 最小 | 標準 | 最大 | 詳細 | |---|---|---|---|---| | 動作電圧(V) | 1.7 | 3.3 | 3.7 | | | ロジックレベル(V) | ※2 | 3.3 | - | 5V TTLを接続した場合、焼損の可能性があります | ※2 VCCが3.3V以下の場合、各ロジックレベルの取り扱いにはレベルシフト回路の実装を推奨します。 | パラメータ | 最小 | 標準 | 最大 | 詳細 | |---|---|---|---|---| | 動作温度範囲 (℃) | -40 | - | 85 | 産業・工業グレード設計 | | 中心周波数(MHz) | 920.6 | - | 928.0 | 日本国内ISMバンド | | 消費電流:送信時(mA) | - | - | 67 | 瞬間消費電流@13dBm | | 消費電流:受信待機時(mA) | - | - | 9.1 | パケット受信時も同じ | | 消費電流:Sleep時(μA) | - | 2.5 | - | | | 最大送信電力(dBm) | - | 13 | - | | | 受信感度(dBm) | - | -140 | - | | | 最大パケット長 | 222 byte | | | ペイロードの最大サイズは使用する帯域幅および拡散率の組によって異なります。 | | 変調方式 | LoRa | | | 次世代LoRaモジュール技術 | | インタフェース | UART | | | TTL Level / ATコマンド | | RF出力インピーダンス | 50Ω | | | | | パッケージ | DFN-24端面スルーホール SMT実装タイプ | | | | | コネクタピッチ | 1.27mm | | | 端面スルーホール(スタンプホール) | | サイズ | 14mm × 20mm × 2.8mm | | | | | 重量 | 1.2g | | | | | アンテナ端子 | IPEX / エッジスルーホール | | | インピーダンス50Ω | | 準拠無線装置規格 | ARIB STD-T108 | | | | ### 2.4 電圧レンジと電力送信パフォーマンス 本モジュールは、幅広い給電電圧に対応していますが、最適な電圧(設定最大出力13dBmで出力できる下限)より低い領域では、僅かに無線電力が低下します。 **表 1 給電電圧とRF出力の関係 [A660-900T22]** | パラメータ | 最小 | 最適出力(下限) | 最大 | 詳細 | |---|---|---|---|---| | 給電電圧(V) | 1.7 | 3.3 | 3.7 | | | 最大出力(dBm) | 12.6 | 12.7 | 12.7 | 13dBm設定時 | ### 2.5 ロジックレベル **ロジックレベル 出力特性: VCC給電時** | 記号 | 説明 | 最小 | 最大 | 単位 | |---|---|---|---|---| | VOH | High level output voltage Source Current | 0.9 | | V | | VOL | Low level output voltage Sink Current | | 0.1 | V | **ロジックレベル 入力特性: VCC給電時** | 記号 | 説明 | 最小 | 最大 | 単位 | |---|---|---|---|---| | VIH | Positive-going input threshold voltage | 0.8 | | V | | VIL | Negative-going input threshold voltage | | 0.2 | V | ### 2.6 準拠規格 一般社団法人電波産業会(ARIB)ARIB STD-T108「920MHz帯テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備」 --- ## 3 ピンアサイン E660-900T22のモジュール外形サイズは、20mm×14mm、厚み2.8mmの端面スルーホール加工を施した、24ピンのDFNモジュールです。同一のランドパターンにおいて、リフロー、手はんだ、いずれでも対応できます。背面のテストピン25、26、27、28は、実装不要です。 ### 3.1 ピンアウト [A660-900T22] | No. | ピン名称 | SoC対応ピン | 方向 | 機能説明 | |---|---|---|---|---| | 1 | GND | | - | グランド | | 2 | VCC | | - | 電源供給端子として1.7〜3.7V DCを供給します。 | | 3 | SETB | GPIO16 | - | 低電力ウェイクアップピン | | 4 | DIO1 | GPIO62 | IN/OUT | NC(Reserved) | | 5 | BUSY | GPIO58 | IN/OUT | NC(Reserved) | | 6 | I2C_SDA | GPIO15 | IN/OUT | NC(Reserved) | | 7 | I2C_SCL | GPIO14 | IN/OUT | NC(Reserved) | | 8 | UART_CTS | GPIO02 | IN/OUT | NC(Reserved) | | 9 | UART_RTS | GPIO03 | IN/OUT | NC(Reserved) | | 10 | AGND | | - | RFグランド | | 11 | ANT | | - | アンテナ接続端子 | | 12 | AGND | | - | RFグランド | | 13 | AGND | | - | RFグランド | | 14 | AGND | | - | RFグランド | | 15 | AGND | | - | RFグランド | | 16 | XRES | RSTN_PIN | IN | 外部リセットピン | | 17 | ADC_IN | GPIO04 | IN | NC(Reserved) | | 18 | AUX | GPIO44 | IN/OUT | NC(Reserved) | | 19 | SETA | GPIO33 | IN/OUT | NC(Reserved) | | 20 | UART_RX | GPIO60 | IN/OUT | UART RX | | 21 | UART_TX | GPIO17 | IN/OUT | UART TX | | 22 | SWD_DATA | GPIO06 | IN/OUT | SWD Data | | 23 | SWD_CLK | GPIO07 | IN/OUT | SWD Clock | | 24 | GND | | - | グランド | | 25 | SPI_MISO | GPIO10 | IN/OUT | NC、SPI MISOテストピンで内部にて配線されており、外部端子としては使用できません | | 26 | SPI_NSS | GPIO09 | IN/OUT | NC、SPI NSSテストピンで内部にて配線されており、外部端子としては使用できません | | 27 | SPI_MOSI | GPIO11 | IN/OUT | NC、SPI MOSIテストピンで内部にて配線されており、外部端子としては使用できません | | 28 | SPI_SCK | GPIO08 | IN/OUT | NC、SPI SCKテストピンで内部にて配線されており、外部端子としては使用できません | ### 3.2 回路設計や基板実装時のピンアサインの注意 XRESリセットピンは、本LoRaWANモジュールを外部から再起動するための機能を提供します。このピンはアクティブ・ロー論理で動作し、ローレベルが印加されるとモジュールの再起動が開始されます。内部プルアップされており、通常動作時は開放または3.3Vにプルアップしてください。 --- ## 4 回路構成例 本モジュールは、アプリケーションロジックを実装した、外部マイコン(MCU)などを接続して使用します。MCUとは、UART_TX、UART_RXとGNDの結線のみで本モジュールの操作は可能です。必要によって、XRESピンをMCUにてアクティブ・ロー制御を行うことで、強制的なリセット動作を実現することが可能です。 外部からの、本モジュールのファームウェアの更新に備えて、Writer Pinの引き出しを推奨します。実際の製品などでは、基板レイアウトの制約などから難しい場合は、端面スルーホールに特殊な治具を挟み込むことで、ファームウェア書き換えは可能です。 MCUとの、UART_TX、UART_RXのラインには、電流制限、ダンピング抵抗を挿入することを推奨します。また、ANTラインを引き出す場合は、配線長、ならびに、インピーダンスに配慮してください。 --- ## 5 基本用語 ### 5.1 送信電力 送信電力とは、モジュールが電波を発射する際のエネルギーの強さを指し、通信の到達距離や信号の品質に直接影響を与える要素です。送信電力は通常、dBm(デシベルミリワット)という単位で表されます。 **表 2 dBmとmWの変換表** | 電力 [dBm] | 電力 [mW] | |---|---| | 0 | 1 | | 3 | 2 | | 10 | 10 | | 20 | 100 | | 23 | 200 | | 30 | 1000 | この送信電力の大きさは、電波法で規制されるため、それ以下の出力の範囲で設定、もしくは、コントロールする必要があります。 ### 5.2 キャリアセンス キャリアセンスとは、電波法における当該周波数帯の利用規則によって定められており、無線機が送信を開始する前に、電波を発射しようとする周波数チャンネルが他のデバイスによって既に使用されていないかを確認する機能です。この機能は、電波の混信を防ぎ、効率的な周波数利用を実現するために利用されます。 本モジュールにおいて日本仕様のプリセット使用する場合、国内電波法の規則に則り、送信前に短時間のキャリアセンスを行います。電波送信を開始する前に送信周波数チャンネルの環境ノイズ強度が-80dBmを下回る状態が5ms継続した状態であれば、電波送信を開始するように設定されます。 ### 5.3 送信休止時間 送信休止時間は、1回の送信が完了してから次の送信を開始するまでの最小待機時間(送信休止時間)を指します。多くの国や地域では、特定の周波数帯域での連続送信や過度に頻繁な送信を制限しています。 また、単位時間あたりの電波送信の総計が占める時間を規定するデューティ比による規定が成される周波数区分もあり、920MHz帯の上位帯域はそれに該当します。 ### 5.4 LoRaWAN LoRaWANにおいては、ゲートウェイと多数のデバイスから構成されるスター型のトポロジのみをサポートし、通信シーケンスの開始は、必ず、デバイスから開始されます。デバイスが主導して通信を行わない限り通信は開始されません。 LoRaWANを含むLoRa偏重を使用した通信速度は、極めて低ビットレートの通信となります。最も通信距離が稼げる設定で運用した場合のデータレートは、976bpsになり、日本の場合は、さらにARIB-STD T108の規定によって、1パケットペイロードサイズは11バイトが上限となります。 本モジュールでは、LoRaWANの通信規格の内、Class Aおよび、Class Cをサポートしますが、Class Bの機能はサポートしていません。 - **Class A**:LoRaWANデバイスの基本的な動作モードであり、最も電力効率の高いクラスです。デバイスがアップリンク送信を行った後、短い時間だけ2つの受信ウィンドウ(RX1とRX2)を開きます。それ以外の時間は、デバイスはスリープ状態を維持します。すべてのLoRaWANデバイスは、必ずClass Aをサポートする必要があり、本モジュールにおいてもサポートしています。 - **Class C**:常時受信可能な状態を維持するモードで、最もレスポンス性の高いクラスです。アップリンク送信時以外、常に受信ウィンドウを開いた状態を維持します。この動作により、最小のダウンリンク遅延を実現し、ほぼリアルタイムの双方向通信が可能となりますが、電力消費が大きくなります。 LoRaWANネットワークは、ゲートウェイとLoRaWANネットワークサーバで構成され、このネットワークサーバは、デバイスのIDの管理や、データのルーティング、データの暗号化、復号化等の全てのLoRaパケットの制御を行います。デバイスとネットワークサーバは、あらかじめ決められたPre-Shared-Keyを持ち、LoRaパケットフレームのAESアルゴリズムで暗号化します。 Class Aでは、Unconfirmed-DataとConfirmed-Dataの2種類の通信方式の選択によって、一定のパケットの通信到達保証を確保することが可能です。Unconfirmed-Dataは、デバイスはネットワークからACKを待たずに通信を行います。Confirmed-Dataは、デバイスが送ったパケットに対するACKを待ちパケットが届かなかった場合は再送制御を行う実装を入れることができます。 **接続方式** - **OTAA (Over-The-Air Activation)**:デバイスがLoRaWANネットワークに参加するために、はじめにJoin Requestを送信し、ネットワークサーバでJoin Requestが受信されると、その応答としてJoin Acceptが返されます。デバイスがJoin Acceptを受信すると、Join Acceptに含まれているデータをもとに鍵情報を生成し、アドレスやペイロードとあわせて送信します。デバイスがあらかじめ復号のための鍵情報を保有していないため、セキュリティは高く、一方で、センサーデバイスがJoin Acceptを確実に受信できないとデバイスはパケットを送信できないため、ゲートウェイとデバイスは十分に受信できる距離、および、環境で運用を行う必要があります。 - **ABP (Activation By Personalization)**:あらかじめデバイス側に鍵と通信パラメータを設定しておき、ペイロードを送信します。OTAAのようなJoin手続きを必要としないため、デバイスや鍵情報がわかればセンサーデータを受信できるセキュリティ上の欠陥を許容する必要があるが、手続きと接続がシンプルであり、簡易的な利用には向いています。 --- ## 6 LoRaWANデバイスの初期設定と通信手順 ### 6.1 DevEUI(デバイス固有アドレス)の設定 LoRaWANにおいては、通信デバイスに固有のIDである、その網内でユニークな、一般的にはグローバルユニークなDevice EUI、または、DevEUI(Device Extended Unique Identifier)を必要とします。LoRaWANプロトコルにおけるDevEUIは、64bitで表現され、通常は、デバイス設計・製造メーカによって、IEEEから割り当てられたMAブロック(MAC Address Block)から生成された64bitユニーク識別子が割り当てられます。 本モジュールにおいては、DevEUIの設定方法について以下のいくつかのオプションを提供しています。 1. 設計者によってIEEEから取得したMAアドレスから生成し割り当てる 2. 当社が本モジュール用に割り当てた配布DevEUIを適用して使用する 3. TTN(The Things Network)などのLoRaWANネットワークサービスによって提供されるDevEUIを割り当てて使用する 4. 利用者が制限されたプライベート網内に限って、限定された任意のDevEUIを選択して割り当てて使用する 4の方法を除き、いずれもグローバルユニークである必要があります。本モジュールについては、いずれの方法であっても、AT+CDEVEUIコマンドによって、DevEUIを本モジュールの不揮発メモリに登録して使用することが可能です。 TTNからDevEUIの発行を受けるには、以下を参照してください。 https://www.thethingsindustries.com/docs/devices/adding-devices/ ### 6.2 通信手順 LoRaWANデバイスがネットワークと通信を開始するためには、まずネットワークに「Join」(参加)する必要があります。主に2つのJoin方式があります:OTAAとABPです。 **1. Join前の準備** Join処理を開始する前に、デバイスには以下の情報が必要です:DevEUI(デバイスの一意の識別子)、AppEUI(Joinサーバーの識別子)、AppKey(アプリケーション鍵)。これらの情報はそれぞれAT+CDEVEUI、AT+CAPPEUI、AT+CAPPKEYコマンドにより設定可能です。 **2. OTAA Joinの手順** - Join-requestの送信:デバイスは、DevEUI、AppEUIを含むJoin-requestメッセージを生成し、ゲートウェイに送信します。 - Join-acceptの受信:ネットワークサーバがJoin-requestを検証し、デバイスの参加を許可する場合、Join-acceptメッセージをゲートウェイ経由でデバイスに送信します。このメッセージには、デバイスアドレス(DevAddr)、ネットワークID、その他のネットワークパラメータが含まれます。 - セッション鍵の生成:デバイスはJoin-acceptメッセージを受信すると、AppKeyを使用してセッション鍵(NwkSKey、AppSKey)を生成します。 **3. Join処理の開始方法** - LoRaWANプロトコルの初期設定:必要なパラメータ(地域設定、チャネル情報など)を設定します。 - Join処理の開始:AT+DJOINコマンドを使用してJoin処理を開始します。 - Join状態の確認:AT+CSTATUSコマンドを使用して、Joinの成功を確認します。 **4. Join後の通信** - アップリンク送信:AT+DTRXコマンドを使用してデータを送信します。 - ダウンリンク受信:Class Aデバイスの場合、アップリンク送信後の2つの受信ウィンドウでダウンリンクメッセージを受信します。受信したメッセージは、AT+DRX?コマンドで確認できます。 ### 6.3 LoRaWANクラス(Class AとClass C) 本モジュールでは、LoRaWANのプロトコル規定の内、Class AとClass Cに対応しており、AT+CCLASSコマンドによってデバイスのクラスを制御することができます。 - Class A - 最も省電力な動作モード - Class B - ビーコンを利用した定期的な受信が可能なモード(本モジュールは非対応) - Class C - 常時受信が可能なモード --- ## 7 LoRaWANデバイスのオペレーション ### 7.1 利用手順概要 LoRaWANデバイスの利用は、通常以下の手順で行います。まず、デバイスの電源投入後、UARTインタフェースを介してATコマンドを送信し、必要な設定(ネットワークパラメータ、デバイス識別子など)を行います。その後、ネットワークへのJoin処理を実行し、接続が確立されたらデータの送信を開始します。 ### 7.2 リセット動作 リセット動作は、デバイスを再起動するための機能で、ハードウェアリセットとソフトウェアリセットの2種類があります。ハードウェアリセットは、デバイスのリセットピンを操作するか、電源の再投入により行います。ソフトウェアリセットは、ATコマンド(AT+IREBOOT)を使用して実行します。 リセット後は、デバイスは最後に保存された設定で起動します。ネットワーク参加(Join)モードや動作クラス(Class A, Class C)などの重要な設定変更後は、AT+CSAVEコマンドを使用して設定を保存することを推奨します。 ### 7.3 設定とデータ送受信(UART) LoRaWANモジュールの設定とデータ送信は、UARTインタフェースを介して行われます。デフォルト設定では9600 bpsのボーレート、8データビット、パリティなし、1ストップビットの設定で動作します。 **設定例** ``` Set command: AT+CDEVEUI=1234567890ABCDEF Response: OK Set command: AT+CAPPEUI=FEDCBA9876543210 Response: OK Set command: AT+CAPPKEY=00112233445566778899AABBCCDDEEFF Response: OK ``` 上記コマンドでは、DevEUIを「0x1234567890ABCDEF」、AppEUIを「0xFEDCBA9876543210」、AppKeyを「0x00112233445566778899AABBCCDDEEFF」に設定しています。 ``` Set command: AT+CCLASS=0 Response: OK Set command: AT+CJOINMODE=0 Response: OK ``` 上記コマンドでは、クラスをClass Aに、JoinモードをOTAAに設定しています。 ``` Set command: AT+RREGION=3 Response: OK ``` 上記コマンドでは、リージョン設定をAS923-1-JPに設定しています。 ``` Set command: AT+DJOIN=1,0,8,2 Response: OK ``` 上記コマンドでは、Joinプロセスの開始、自動Join設定オフ、Join間隔8秒、最大試行回数2回に設定しています。 ``` Set command: AT+DTRX=1,3,5,48656C6C6F Response: OK+SEND:05 / OK+SENT:01 ``` 上記コマンドでは、データ送信設定として確認型メッセージ、再送回数3回、5byte長のペイロード0x48656C6C6F("Hello"の16進数表現)を送信しています。 ``` Set command: AT+DRX? Response: +DRX=7,576F726C6421 / OK ``` 上記コマンドの応答は、7byte長のペイロード0x576F726C6421("World!"の16進数表現)を受信したことを示しています。 --- ## 8 ATコマンドセット概要 ### 8.1 ATコマンド一覧 **コマンドの接頭辞規則** - R(Restrict) 電波法など制限に関する設定 - C(Configuration) 設定(コンフィグ)に関するもの - D(Data) データ送受信操作 - I(Independent) 独立操作(モジュールリセットなど) **表 3 設定コマンド(第9章)** | Command | Description | |---|---| | AT+CGBR | Baud rateの取得/設定 | | AT+RMAXTXP | モジュールの最大送信電力の制限を設定/取得 | | AT+RCARRSEN | キャリアセンスの監視時間とレベルを設定/取得 | | AT+RPAUSETIME | 送信後の送信休止時間を設定/取得 | | AT+CTXP | 送信電力を設定/取得 | | AT+CDEVEUI | DeviceEUIを設定/取得 | | AT+CJOINMODE | ネットワーク参加(JOIN)モードを設定/取得 | | AT+CAPPEUI | Application EUIを設定/取得 | | AT+CAPPKEY | Application Keyを設定/取得 | | AT+CDEVADDR | Device Addressを設定/取得 | | AT+CAPPSKEY | Application Session Keyを設定/取得 | | AT+CNWKSKEY | Network Session Keyを設定/取得 | | AT+CULDLMODE | UplinkとDownlinkで使用する周波数を設定/取得 | | AT+CCLASS | 動作クラスを設定/取得 | | AT+DULSTAT | 現在の状態や動作状況を取得 | | AT+RREGION | リージョン設定を設定/取得 | | AT+CAPPPORT | アプリケーションポートを設定/取得 | | AT+CADR | Adaptive Data Rate (ADR) 機能を設定 | | AT+CRXP | 受信パラメータを設定/取得 | | AT+CSAVE | 現在の設定を不揮発性メモリに保存 | | AT+CJOINDDR | Joinプロセス時に使用するデータレート(DR)を設定/取得 | **表 4 通信実行コマンド(第10章)** | Command | Description | |---|---| | AT+DJOIN | ネットワークに参加(JOIN)を実行 | | AT+CCONFIRM | メッセージ確認モードを設定/取得 | | AT+CNBTRIALS | 確認メッセージの再送回数を設定/取得 | | AT+DTRX | データ送信を実行 | | AT+DRX | 受信したダウンリンクメッセージを確認 | **表 5 その他コマンド(第11章)** | Command | Description | |---|---| | AT+CGMR | バージョン番号の取得 | | AT+CGMI | 製造元の取得 | | AT+CGMM | モジュール名の取得 | | AT+IREBOOT | モジュールを再起動 | ### 8.2 設定概要 ATコマンドの基本構造: ``` AT+[コマンド名][操作][パラメータ1][,パラメータ2]...[] ``` すべてのATコマンドは「AT」というPrefixから始まり、その直後に「+」記号が付きます。次に続くのがコマンド名です。パラメータが続く場合は、コマンド名の後に「=」記号を付け、その後にパラメータを記述します。複数のパラメータがある場合は、カンマ「,」で区切ります。最後に、すべてのATコマンドはキャリッジリターン(\)で終了します。 ATコマンドには4つの主要な操作モードがあります。 1. **テストコマンド**:`AT+[コマンド名]=?` — サポートされているパラメータ範囲を確認できます。 2. **読み取りコマンド**:`AT+[コマンド名]?` — 現在の設定値を読み取ることができます。 3. **書き込みコマンド**:`AT+[コマンド名]=[パラメータ]` — 新しい値を設定できます。複数の場合は`AT+[コマンド名]=[パラメータ1][,パラメータ2]...` 4. **実行コマンド**:`AT+[コマンド名]` — 追加の情報を必要とせずに単独で機能を実行します。 **コマンドの応答**:正常応答は`OK`。要求された情報や状態の応答例は`+CGMM=A660-900T22 OK`のように返ります(モジュールのモデル識別情報の応答例)。失敗応答は`ERROR`。 ### 8.3 周波数チャンネルと帯域幅一覧 本モジュールは、LoRaWANの複数の地域別周波数プランに対応しており、EU868、US915、AS923-1、AS923-2に準拠しています。 - EU868: 欧州で主に使用され、863MHz~870MHzの周波数帯を利用します。 - US915: 北米で使用され、902MHz~928MHzの周波数帯を利用します。 - AS923-1: アジア太平洋地域(日本を含む)で使用され、923MHz~925MHzの周波数帯を主に使用します。 - AS923-2: AS923-1と同様にアジア太平洋地域で使用されますが、周波数が若干異なります。 日本では、AS923-1周波数プランを使用します。 **アップリンク**:チャンネル0(923.2 MHz)とチャンネル1(923.4 MHz)は、すべてのAS923-1準拠デバイスで実装が必須です。Join用のチャンネルは923.2 MHzと923.4 MHzを使用します。 **表 6 AS923-1のアップリンクチャンネル** | チャンネル | 周波数 | |---|---| | チャンネル0 | 923.2 MHz | | チャンネル1 | 923.4 MHz | | チャンネル2 | 923.6 MHz | | チャンネル3 | 923.8 MHz | | チャンネル4 | 924.0 MHz | | チャンネル5 | 924.2 MHz | | チャンネル6 | 924.4 MHz | | チャンネル7 | 924.6 MHz | **ダウンリンク**:RX1: 同一周波数(アップリンクと同じ)。RX2: 923.2 MHz(デフォルト) **表 7 データレート** | データレート | 設定 | |---|---| | DR0 | SF12 / 125 kHz | | DR1 | SF11 / 125 kHz | | DR2 | SF10 / 125 kHz | | DR3 | SF9 / 125 kHz | | DR4 | SF8 / 125 kHz | | DR5 | SF7 / 125 kHz | 実際の使用に当たっては、使用する地域の規制に従って適切な周波数プラン、チャンネル、および設定を選択してください。 --- ## 9 ATコマンドリファレンス【設定コマンド】 設定用のATコマンドは、AT+R もしくは、AT+Cで始まり、それぞれ、電波法などによる無線制約設定コマンド、パラメータの設定コマンドです。通常、AT+R系コマンドにより、国別の電波法規制設定を適用した後、AT+C系コマンドによって、各パラメータを設定します。 ### 9.1 AT+CGBR / Common Global Baud Rate モジュールとMCUの間のシリアル通信のボーレートを設定または取得します。新しいボーレート設定はコマンド実行後にリセットまたは再起動を行うことで反映されます。 **書き込みコマンド**:`AT+CGBR=` **読み取りコマンド**:`AT+CGBR?` **パラメータ** ``:1200 bps / 2400 bps / 4800 bps / 9600 bps (default) **レスポンス**:書き込み成功時`OK`。読み取り成功時`+CGBR= OK`。失敗時`ERROR`。 **コマンド例** | Set command | AT+CGBR=9600 | |---|---| | Response | OK | | Query command | AT+CGBR? | |---|---| | Response | +CGBR=9600 OK | ### 9.2 AT+RMAXTXP / Restriction of MAX Transmitting Power モジュールの最大送信電力の制限を設定または取得します。日本国内での使用を前提とした場合、電波法による規制により、920MHz帯を使用するLoRaデバイスの場合、最大送信電力は20mW(13dBm)以下と定められています。したがって、日本国内での使用では、本コマンドで設定する値は13dBmを超えないようにする必要があります。「日本向けプリセット」を選択すると、自動的に送信電力の上限が13dBmに設定されます。 **書き込みコマンド**:`AT+RMAXTXP=` **読み取りコマンド**:`AT+RMAXTXP?` **パラメータ** ``:0~22dBmの整数値(default: 13 dBm) **コマンド例** | Set command | AT+RMAXTXP=13 | |---|---| | Response | OK | | Query command | AT+RMAXTXP? | |---|---| | Response | +RMAXTXP=13 OK | ### 9.3 AT+RCARRSEN / Restriction of Carrior Sense 送信時のキャリアセンス監視時間とキャリアセンスレベルを設定または取得します。キャリアセンスは、日本の電波法において920MHz帯を使用するモジュールに対して実施が義務付けられており、具体的には、送信直前に5ms以上のキャリアセンスを行い、-80dBm以上の信号を検出した場合は送信を行わないことが定められています。「日本向けプリセット」選択時は自動的にキャリアセンス監視時間が5ms、キャリアセンスレベルが-80dBmに設定されます。 **書き込みコマンド**:`AT+RCARRSEN=